大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和57年(行コ)46号 判決 1985年9月17日

大阪府泉南郡阪南町箱作一〇三三‐三四

控訴人

米原文雄

右訴訟代理人弁護士

水野武夫

飯村佳夫

田原睦夫

栗原良扶

尾崎雅俊

溜池英夫

大阪府泉佐野市瓦屋三丁目一‐一九

被控訴人

泉佐野税務署長

黒川昌平

右訴訟代理人弁護士

岩橋健

右指定代理人

堤孝雄

西浜温夫

辻田孝章

杉山幸雄

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

二  被控訴人が昭和五二年三月一四日付で控訴人の昭和四八年分の所得税についてした更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(異議決定により変更された後のもの)のうち、所得金額二八一六万六六六七円を超える部分を取り消す。

三  被控訴人が昭和五二年七月二〇日付で控訴人の昭和四九年分の所得税についてした更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。

四  被控訴人が昭和五二年七月二〇日付で控訴人の昭和五〇年分の所得税についてした更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち所得金額三一二九万四七三一円を超える部分を取り消す。

五  控訴人のその余の請求を棄却する。

六  訴訟費用は第一、二審を通じこれを四分し、その三を控訴人のその余を被控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対し、昭和五二年三月一四日付でした控訴人の昭和四八年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(異議決定により変更された後のもの、以下「昭和四八年分更正処分等」という。)のうち総所得金額を八三一万五三一〇円として算出した所得税額及びこれに伴う過少申告加算税をこえる部分、昭和五二年七月二〇日付でした。控訴人の昭和四九年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「昭和四九年分更正処分等」という。)並びに同日付でした控訴人の昭和五〇年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「昭和五〇年分更正処分等」という。)のうち総所得金額を二八五万八五一六円(確定申告額)として算出した所得金額及びこれに伴う過少申告加算税をこえる部分を、いずれも取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

との判決

二  被控訴人

1  本件控訴を棄却する。

2  訴訟費用は控訴人の負担とする。

との判決

第二当事者の主張

一  控訴人の請求原因

1  課税処分の経緯

(一) 控訴人は宅地造成等を業とするものであるが、昭和四八年分の所得税について別表(一)の確定申告欄記載のとおり申告したところ、被控訴人は昭和五二年三月一四日付で同表の更正処分等欄記載のとおり所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分をした。

控訴人は同年五月一三日異議の申立をしたところ、被控訴人は更正処分については棄却の決定をし、重加算税の各賦課決定を取り消し、過少申告加算税の額を八三万三四〇〇円とする決定をした。

そこで、控訴人は同年八月二〇日国税不服審査所長に対し審査請求をしたが、同所長は昭和五四年九月二八日付で審査請求を棄却するとの裁決をし、その旨控訴人に通知した。

(二) 控訴人は昭和四九年分、昭和五〇年分の各所得税について別表(一)の確定申告欄記載のとおり申告したところ、被控訴人は昭和五二年七月二〇日付で同表の各更正処分等欄記載のとおりの所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。

控訴人は昭和五二年九月二四日異議の申立をしたところ、被控訴人は異議申立期間の徒過を理由として異議申立を却下する決定をした。

そこで、控訴人は同年一一月一二日国税不服審査所長に対し審査請求をしたが、同所長は昭和五四年九月二八日付で審査請求を棄却するとの裁決をし、その旨控訴人に通知した。

2  しかし、被控訴人のした昭和四八年ないし五〇年分(以下「本件係争年分」という。)の各更正処分等は、いずれも控訴人の所得を過大に認定した違法がある。

3  結論

よって、控訴人は被控訴人に対し、昭和四八年ないし五〇年分の各更正処分等について、請求の趣旨第一項に掲記したとおり、昭和四八年分については総所得金額が控訴人主張の八三一万五三一〇円をこえる部分、昭和四九年分については総所得金額の全額、昭和五〇年分については総所得金額が確定申告の二八五万八五一六円をこえる部分につき、それぞれ取り消すことを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2、3は争う。

三  被控訴人の主張

1  控訴人の本件係争年分の総所得金額は次表のとおりであり、この範囲内でなされた昭和四八年ないし五〇年分の各更正処分等は適法である。

<省略>

2  事業所得金額について

控訴人の本件係争分の事業所得金額は、次表のとおりである。

<省略>

3  収入金額について

控訴人の本件係争年分の収入金額の明細は、別表(二)(同表番号1の内訳は別表(三)‐(1)、(2)、(3))のとおりである。

4  昭和四八年分の売上原価について

控訴人の昭和四八年分の売上原価の内訳は次表のとおりであり、<2>仕入金額の明細は別表(四)のとおりである。

<省略>

5  昭和四八年分の必要経費について

(一) 控訴人の昭和四八年分の売上原価を除く必要経費の内訳は次のとおりである。

修繕費 五九九万六九三五円

消耗品費 六六六万五四二三円

減価償却費 三九七万〇二〇三円

労務費 二一〇七万七一九一円

賃借料 四三二万八五〇〇円

利子割引料 六〇七万七三一二円

その他 二八五五万九三八二円

合計 七六六七万四九四六円

(二) 右労務費の明細は別表(五)‐(1)のとおりである。

四  被控訴人の主張に対する控訴人の認否と反論

1  被控訴人の主張1(総所得金額)について

<2>譲渡損失額、<3>雑所得金額は認めるが、<1>事業所得金額は争う。

2  同2(事業所得金額)について

昭和四八年分については、<1>、<2>、<3>、<5>の各金額を争う。

昭和四九年分、同五〇年分については、<2>、<3>、<4>の各金額を認め、その余は争う。

3  同3(収入金額、別表(二))について

次に記載する認否のほか、その余は認める(なお、以下、第一地所販売株式会社を「第一地所販売」、第一地所株式会社を「第一地所」とそれぞれ略称し、右二社を一活して表示する場合は「第一地所(販売)」という。また、その他の法人を表示する場合も「株式会社」等の表示を省略する。)

(昭和四八年分)

(一) 番号1(第一地所販売及び第一地所分)

一億三一〇四万五五〇〇円(別表(三)‐(1)の第一地所販売分2ないし5、7ないし10、ないし14、17、第一地所分1ないし3)は認めるが、これをこえる部分(同表第一地所販売1、6、11、15、16、第一地所分4ないし14)は争う。

別表(三)‐(1)につき、第一地所から雑費(整備及び清掃代)として控訴人に支出されたことになっている二八七万円(6ないし8、10ないし14)は、第一地所が名古屋方面の債権者に対して支払った裏利息を雑費として処理したものであり、そのほか第一地所販売及び第一地所に対する売上の中には、右両社により偽造された領収証あるいは両社の依頼によって控訴人が発行した白地の領収証に基づくもの含まれている。

(二) 番号4(丸大組分)

二〇〇万円認めるが、その余は融通手形の金額であって工事代金ではない。

(昭和四九年分)

(一) 番号1(第一地所販売及び第一地所分)

八五二九万六五〇〇円(別表(三)‐(2)の第一地所販売分2、5、7ないし10、12、14ないし18)は認めるが、これをこえる部分(同表第一地所販売分1、3、4、6、11、13、19、第一地所分の全部)は争う。

別表(三)‐(2)につき、被控訴人主張額の中には、昭和四八年分と同様裏利息を控訴人に対する支出として処理した三七六万円(第一地所販売部の全部)のほか、偽造等による領収証に基づくものが含まれている。

(二) 番号16(富島組分)

一二三二万三〇〇〇円は認めるが、その余の一〇〇四万五三九六円は燃料代として差し引かれたので右金額は控除されるべきである。

控訴人と富島組との契約の内容は、控訴人が行う請負工事に要する燃料費は富島組が負担しその費用相当額を控除したものを請負代金とするというものであるから、右控除後の金額を収入金額とすべきは当然である(仮に、原判決のいうように、全額を収入金額に計上すべきだというのであれば右の燃料費相当分は必要経費として差し引くべきである。)。

(三) 番号18、19(金坂重機、金坂建設工業分)

18の金坂重機分(一二〇六万円)は認めるが、19の金坂建設工業分(八四六万六七五〇円)は控訴人の同社に対する支払分(ゴルフ場の造成工事について人夫等を派遣してもらったもの)であり、必要経費に算入すべきものである。

(昭和五〇年分)

(一) 番号1(第一地所販売及び第一地所分)

三四一六万五五〇〇円(別表(三)‐(3)第一地所販売分1、2、4ないし9、12、)は認めるが、これをこえる部分(同表第一地所販売3、10、11、13、ないし15、第一地所販売部の全部)は争う。

別表(三)‐(3)につき、被控訴人主張額の中に裏利息を処理した三七七万円(第一地所分一ないし12)のほか、偽造等による領収書に基づくものが含まれていることは昭和四八年、四九年分と同様である。第一地所販売分の3(一〇〇〇万円及び第一地所分の13(九一〇万円)については領収書すら存在しない。

(二) 番号4(丸大組分)

控訴人と丸大組との取引は昭和五〇年には全くなく、被控訴人主張の収入金額はすべて融通手形の交換によるものであるから控訴人の収入として計上すべきでない。

(三) 番号20、31(甲陽土木重機、中外機工分)

右両社の分は広島のゴルフ場の造成工事に関するものであり、中外機工が右工事を元請し、甲陽土木重機が下請、控訴人が孫請となって右工事をしたものであるが、昭和五一年に甲陽土木重機が手を引いたためその後は控訴人と中外機工との直接取引となった。したがって、甲陽土木重機からの収入九八万八〇〇〇円(番号二〇)は、中外機工からの収入(31の三五六万四〇〇〇円)の中に含まれていて両者は重複している。

(四) 番号23(金沢重機建設分)

一六七一万三〇〇〇円は認めるが、その余(一二三七万七〇〇〇円)は争う。金沢重機建設からの収入金はすべて手形により受領し、これを和歌山相互銀行で割引いていた。

4  同4(昭和四八年分の売上原価)について

(一) <1>期首棚卸高及び<3>期末棚卸高は認めるが、<2>仕入金額は争う。

(二) 昭和四八年分の仕入金額(別表(四))について

番号2、17を争い、その余は認める。

2の平和産業分は八七七万九七〇〇円、17の山本金二分は四八〇万円であって仕入金額の合計額は三一八九万八七八七円である。

5  同5(昭和四八年分の必要経費)について

(一) 被控訴人主張の必要経費の内訳のうち減価償却費及び労務費を争い、その余は認める。

(二) 減価償却費について

昭和四八年分の減価償却費は別表(六)のとおり、被控訴人が主張する三九七万〇二〇三円のほか一八五〇万四一五〇円合計二二四七万四三五三円が認められるべきである。同表記載の建設機械は昭和四七年七月から昭和四八年二月までの間に控訴人が取得したものである。

(三) 労務費(別表(五)‐(1))について

昭和四八年分の労務費の明細は別表(五)‐(2)のとおであり、その合計額は三〇四二万〇三九一円である。

第三証拠関係

原審及び当審記録中の各証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

第一課税処分の経緯について

請求原因1の事実はすべて当事者間に争いがない。

第二控訴人の総所得金額について

一  昭和四八年分

1  収入金額について

(一) 別表(二)の2、3、5ないし12の収入金額合計一二六五万〇七〇〇円については当事者間に争いがない。

(二) 別表(二)の1(第一地所(販売)分、その内訳は別表(三)‐(1))について

(1) 控訴人が昭和四八年中に、第一地所販売から別表(三)‐(1)のうち同社分の1ないし5、7ないし10、12ないし14、17のとおり宅地造成工事代金として合計一億〇三五四万五五〇〇円の支払いを受けたこと、第一地所から別表(三)‐(1)のうち同社分の2ないし3のとおり宅地造成工事代金として合計二七五〇万円の支払いを受けたことは当事者間に争いがない。

(2) 別表(三)‐(1)の第一地所販売分の1、6、11、15、16、第一地所分の9について

本件全証拠によっても、控訴人に被控訴人主張のとおりの右収入金額があったと認めるに足りない。

かえって、成立に争いがない乙第一八号証の一六七、一六九、一七〇、一七一の各記載と乙第一七号証の四五、同第一八号証の三六、五〇、六五、七五、七六の各存在、原審証人中井宏影、同中村肇の各証言によると、第一地所販売及び第一地所は、宅地造成のための土地を買受けた際、売主から売買代金を表向きには実際の代金額より圧縮し、圧縮した部分を裏金として交付するように要求され、これに応じたこともあったこと、第一地所は、この裏金として支出した金員をを処理するために、第一地販売の経理部長中村肇が控訴人の記名印、印章を偽造し、控訴人に工事代金を支出したように振替伝票や帳簿を作成し、これに見合う領収書を作成したこと、乙第一八号証の三六、五〇、六五、七五、七六、同第一七号証の四五の各領収証(収入金との対応関係は別表(三)‐(1)のとおり)は、偽造されたものであり、控訴人には別表三‐(1)の第一地販売分の1、6、11、15、16、第一地所分の9の収入が実際にはなかったこと、以上の事実が認められる。

したがって、右合計四四四六万円は控訴人の収入金額とすることはできない。

(3) 別表三‐(1)の第一地販売分の4、5について

控訴人に対して第一地所地から右収入金が支出されたことをうかがわせる証拠として成立に争いがない乙第一七号証の一六、一七(振替伝票)、五〇(帳簿)があるが、控訴人に対する支出金についての第一地所の振替伝票、帳簿には架空のものがあることは前に認定したとおりであるから、右乙号各証だけで控訴人の収入金額とすることはできない。

(4) 別表三‐(1)の第一地販売分の6ないし8、10ないし14について

被控訴人は、控訴人が第一地所から箱作団地の道路その他の整備管理費用として右収入金の支払いを受けたと主張し、乙第一七号証の四八(第一地所帳簿)、同第五三号証の一(質問調書)にはその旨の記載がなされているけれども、第一地所の帳簿がそのまま信用し難いことは前に認定したところであり、右質問調書の内容は、当審証人佐保禎三の証言によって成立を認め得る甲第一号証及び当審証人中村肇の証言と対比するとにわかに信用できず、他に被控訴人の右主張事実を認めるに足る証拠はない。

したがって、右合計二八七万円は控訴人の収入金額とすることはできない。

(5) 以上により、控訴人の昭和四八年分の第一地所販売及び第一地所からの収入金は、一億三一〇四万五五〇〇円となる。

(三) 別表(二)の4(丸大組分)について

成立に争いのない乙第三〇号証の二(控訴人の売上帳)によると、控訴人は昭和四八年中に丸大組から八五六万五〇〇〇円の売上収入のあっことが認められる。

控訴人は、被控訴人主張額のうちには丸大組との融通手形の交換によるのもが含まれていると主張し、当審及び原審の控訴人本人尋問の結果中にはこれに副う供述があるが具体性を欠き信用することはできず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

そうすると、丸大組からの昭和四八年中の収入金額は、八五六万五〇〇〇円である。

(四) 控訴人の阪昭和四八年分の収入金額は、右(一)、(二)、(三)を合算した一億五二二六万一二〇〇円となる。

2  売上原価について

(一) 期首棚卸高が三〇万円、期末棚卸高が一二〇万二五〇〇円であることは当事者間に争いがない。

(二) 仕入金額について

別表(四)の(1)の1、3ないし16、18、19(一八三一万九〇八七円)については当事者間に争いがない。

成立に争いのない乙第三三号証の三、第三四号証の三によると、控訴人の昭和四八年分の平和産業からの仕入金額は八六六万五五〇〇円であることが認められ、これに反する証拠はない。

また、成立に争いのない乙第三三号証の九によると、控訴人の昭和四八年分の山本金二からの仕入金額として三〇〇万円のあることが認められる。控訴人はそれ以外に一八〇万円があるとして甲第一三号証の一ないし三を提出するが、その支払いについては領収書等もなく、仕入帳にも記載されていないのであるから、これをもって右認定を左右することはできない。

したがって、仕入金額は二九九八万四五八七円であると認められる。

(三) そうすると、売上原価は二九〇八万二〇八七円となる。

3  必要経費について

(一) 被控訴人主張5の(一)のうち、修繕費、消耗費、賃借料、利子割引料、その他の各金額(五一六二万七五五二円)については当事者間に争いがない。

(二) 減価償却費(別表(六))について

三九七万〇二〇三円があることについては当事者間に争いがないところ、控訴人はそのほかに別表(六)に記載するブルドーザー等の減価償却費一八五〇万四一五〇円が認められるべきであると主張する。

成立に争いのない甲第一四ないし第一六号証、同第一七号証の一ないし二五、同第二〇号証の一、二、当審証人佐保禎三、当審控訴人本人尋問の結果によると、控訴人は昭和四七年七月ころから昭和四八年二月までの間に別表(六)記載の機械のうちスクレバーKH22D一台を除いた機械を購入したこと、その減価償却費が一八三三万四五〇〇円であることが認められ、この認定に反する乙第四一号証の記載及び原審証人中村肇の供述部分は信用できず他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

そうすると、控訴人の昭和四八年分の減価償却費は二二三〇万四七〇三円となる。

(三) 労務費(別表(五)の(1)、(2))について

控訴人は昭和四八年分の労務費は別表(五)‐(2)のとおりであると主張し(そのうち6、8、10ないし18を除き当事者間に争いがない)、その内訳は成立に争いない乙第五四号証に記載のとおりであるとする。しかし、控訴人は乙第五四号証には架空の金額も記載されていることを自認したうえ(それらはすべて△印が付されている)、それ以外は△印の付してある分も含めて労務費とし支出したと主張するが、これに副う当審証人米原孝保の供述部分はにわかに信用できず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

したがって、別表(五)‐(2)のうち、6は八三万円の範囲で労務費と認め、8は前掲乙第五四号証によると一一万四五〇〇円で労務費と認められるけれども10ないし18はいずれもこれを労務費と認めることはできない。

そうすると労務費の額は二一〇八万〇一〇九一円であると認められる。

(四) 以上により、必要経費(売上原価を除く)は、九五〇一万二四四六円となる。

4  事業所得金額について

控訴人の昭和四八年分の事業所得金額は、収入金額一億五二二六万一二〇〇円から売上原価二九〇八万二〇八七円及び必要経費九五〇一万二四四六円を差し引いた二八一六万六六六七円となり、これが同年分の総所得金額でもある。

二  昭和四九年分

1  収入金額について

(一) 別表(二)の4、5、13ないし15、17、18、20、21の収入金額合計三七〇六万三〇三〇円については当事者間に争いがない。

(二) 別表(二)の1(第一地所(販売)分、その内訳は別表三‐(2))について

(1) 控訴人が昭和四九年中に第一地所販売から別表三‐(2)のうち同社分の2、5、7、ないし10、12、14ないし、18のとおり合計八五二九万六五〇〇円の支払いを受けたことは当事者間に争いがない。

(2) 別表三‐(2)の第一地所販売分の1、3、4、6、11、13、19について

控訴人に対して第一地所販売から右収入金が支出されたことをうかがわせる証拠として、成立に争いのない乙第一八号証の八〇、八二、八三、八五、八六、九一、九二、九四、一〇三、一〇四、一〇八、一〇九、一一三、一七五、一七八、同第二三号証の一、三、同第五一号証の二があり、原審証人中村肇の証言中にもそれに副う部分があるが、前示甲第一号証、当審証人中村肇の証言によって成立を認め得る甲第二二ないし第二四号証、同第二五号証の一、二、同第二六ないし第二八号証同証言並びに当審証人佐保禎三、同平田貢の各証言によると、第一地所販売は、裏金を捻出するため控訴人に依頼し、実際の支払先は控訴人と異なるのに控訴人に支払ったことを仮装する領収書の交付を受けて、帳簿上の処理をしていたほか、控訴人に対する貸付金を売上金に計上するなどの操作を行っていたことが認められるのであり、これらの事実を考慮すると、前示証拠があるからといってそれだけで控訴人に右収入金額があったとすることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

したがって、右合計三六五二万九〇二九円は控訴人の収入金額とすることはできない。

(3) 別表(三)‐(2)の第一地所分の1ないし10について

被控訴人は、控訴人が第一地所から箱物団地の道路その他の整備管理費用として右収入金の支払いを受けたと主張し、成立に争いない乙第一七号証の四八、同第二六号証の一(以上第一地所帳簿)、同第五三号証の一(質問調書)にはその旨の記載がなされているけれども、第一地所分の帳簿がそのまま信用し難いことは前に認定したところであり、右質問調書の内容は、前掲甲第一号証及び当審証人中村肇の証言と対比するとにわかに信用できず、他に被控訴人の右主張事実を認めるに足る証拠はない。

したがって、右合計三七六万円は控訴人の収入金額とすることはできない。

(4) 以上により、控訴人の昭和四九年分の第一地所販売からの収入金は、八五二九万六五〇〇円となる(第一地所からの収入金はない。)。

(三) 別表(二)‐16(富島組分)について

成立に争いのなち甲第一二号証、乙第三一号証、当審証人平田貢の証言によって成立を認め得る甲第二九号証と同証人の証言によると、昭和四九年中の控訴人の富島組からの収入金は、二二三六万八三九六円から燃料代等の経費一〇〇四万五三九六円を控除した一二三二万三〇〇〇円であることが認められこれを覆すに足りる証拠はない。

(四) 別表(二)‐19(金沢建設工業分)について

前掲乙第三一号証には控訴人の昭和四九年中の金沢建設工業に対する売上として八四六万六七五〇円が記載されているが、当審の控訴人本人尋問の結果によると右金額は控訴人が支払うべき分であると認められるからこれを控訴人の収入金とすることはできない。

(五) 控訴人の昭和四九年分の収入金額は、右(一)、(二)、(三)を合算した一億三四六八万二五三〇円となる。

2  売上原価について

売上原価が一九四八万〇九四三円であることは当事者間に争いがない。

3  必要経費について

必要経費(売上原価を除く)が一億二一七一万二五七二円であることは当事者間に争いがない。

4  事業所得金額について

控訴人の昭和四九年分の事業所得金額は、収入金額一億三四六八万二五三〇円から売上原価一九四八万〇九四三円及び必要経費一億二一七一万二五七二円を差し引いた六五一万〇九八五円のマイナスとなる。

5  譲渡損失額について

控訴人の昭和四九年分の譲渡損失額が二二六万八五〇〇円であることは当事者間に争いがない。

6  総所得金額

控訴人の昭和四九年分の総所得金額は右事業所得金額から右譲渡損失額を控除して算出すると八七七万九四八五のマイナスとなる。

三  昭和五〇年分

1  収入金額について

(一) 別表(二)の5、15、17、22、24ないし37の収入金額合計六一九六万九三三〇円については当事者間に争いがない。

(二) 別表(二)‐1(第一地所(販売)分、その内訳は別表(三)‐(3))について

(1) 控訴人が昭和五〇年中に第一地所販売から別表(三)‐(3)のうち同社分の1、2、4ないし9、12のとおり合計三四一六万五五〇〇円の支払いを受けたことは当事者間に争いがない。

(2) 別表(三)‐(3)の第一地所販売分の3について

成立に争いのない乙第一八号証の一〇二、同第五二号証の二と原審証人岡崎成胤の証言によると控訴人に対し第一地所販売から一〇〇〇万円の収入金があったものと認めることができ、当審証人佐保禎三の証言もこれを動かすに足りず他にこれを覆すに足りる証拠はない。

(3) 別表(三)‐(3)の第一地所販売分の10、13、14、15について

控訴人に対して第一地所販売から右収入金が支出されたことをうかがわせる証拠として、成立に争いのない乙第一八号証の一二九、一三三ないし一二五、一四九、一六〇、一五六ないし一六〇があるが、前掲甲第二七号証、同第二八号証と当審証人中村肇の証言に照らすと前示証拠だけで控訴人に右収入金額があったと認めるに足りる証拠はない。

したがって、右合計二一六〇万円は控訴人の収入金額とすることはできない。

(4) 別表(三)‐3の第一地所販売分の11について

成立に争いのない乙第一八号証の一三一、一五二、一五三、乙第五二号証の二によると、控訴人に対し第一地所販売から六〇万一四五〇円の収入金があったものと認めることができ、原審及び当審における証人中村肇の証言並びに控訴人本人尋問の結果によっては右認定を覆すに足りず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

(5) 別表(三)‐(3)の第一地所分の1ないし12について

被控訴人は、控訴人が第一地所から箱物団地の道路その他の整備管理費用として右収入金の支払いを受けたと主張し、成立に争いのない乙第二六号証の一、同第二七号証の一(以上第一地所帳簿)、前掲乙第五三号証の一(質問調書)にはその旨の記載がなされているけれども、第一地所分の帳簿がそのまま信用し難いことは前認定したところであり、右質問調書の内容は、前掲甲第一号証及び当審証人中村肇の証言と対比するとにわかに信用できず、さらに、控訴人の住所、氏名欄のみ成立に争いない乙第二九号証の一ないし一一(領収証)にも被控訴人の主張に副う記載があるが、原審及び当審証人中村肇の証言によれば、これらは、第一地所において裏金を捻出するため控訴人からその記名捺印のある白紙の領収書の交付を受けてその内容を記入した仮装のものであることが認められ、他に被控訴人の右主張事実を認めるに足る証拠はない。

したがって、右合計三七七万円は控訴人の収入金額とすることはできない。

(6) 別表(三)‐(3)の第一地所分の13について

当審証人中村肇の証言によって成立を認め得る乙第六七号証と同証言によると、昭和五〇年中に第一地所が控訴人に対し造成工事代金九一〇万円を支払ったことが認められこれらに反する証拠はない。

(7) 以上により、控訴人の昭和五〇年分の第一地所販売及び第一地所からの収入金は五三八六万六九五〇円となる。

(三) 別表(二)の4(丸大組分)について

成立に争いのない乙第三〇号証の五によると、控訴人は昭和五〇年中に丸大組から合計一五六〇万円の売上収入があったことが認められる。

控訴人は、右金額は融通手形の交換によるもので収入ではないと主張するが、これに副う原審及び当審の被控訴人本人尋問の結果は具体性を欠くから採用できず他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

そうすると、控訴人の丸大組からの昭和五〇年中の収入金は一五六〇万円である。

(四) 別表(二)‐20(甲陽土木重機分)について

成立に争いのない乙第三〇号証の三、同第三二号証の一と当審の控訴人本人尋問の結果によると、昭和五〇年二月に控訴人に対し甲陽土木重機から九八万八〇〇〇円の支払がなされた旨の記載があること、一方同月中に中外機工からも振込、相殺、手形により合計九八万八〇〇〇円の決済がなされていること、右支払は広島のゴルフ場の造成工事に関するものであり中外機工が元請、甲陽土木重機が下請、控訴人が孫請として施工したもので、甲陽土木重機からの収入は中外機工からの収入と重複することが認められ、これに反する証拠はない。

そうすると甲陽土木重機からの九八万八〇〇〇円は控訴人の収入金額とすることはできない。

(五) 別表(二)の23(金沢重機建設分)について

成立に争いがない乙第三〇号証の六によると控訴人が昭和五〇年中に金沢重機建設に合計金二九〇九万円の売上があったのごとき記載があるが、当審の控訴人本人尋問の結果及びこれにより真正に成立したと認める甲第三〇号証によれば、同年中の右売上は一六七一万三、〇〇〇円であり、乙第三〇号証の六の右記載は誤算であることがうかがわれ、他に被控訴人主張の売上があったことを認めるに足りる証拠はない。

そうすると、金沢重機建設からの昭和五〇中の収入金額は、一六七一万三〇〇〇円である。

(六) 控訴人の昭和五〇年分の収入金額は右(一)、(二)、(三)、(五)を合算した一億した四八一四万九二八〇円となる。

2  売上原価について

売上原価が四〇二万〇八五五円であることは当事者間に争いがない。

3  必要経費について

必要経費(売上原価を除く)が一億一五五三万五六五四円であることは当事者間に争いがない。

4  事業専従控除額について

事業専従者控除額が四〇万円であることは当事者間に争いがない。

5  事業所得金額について

控訴人の昭和五〇年分の事業所得金額は、収入金額一億四八一四万九二八〇円から売上原価四〇二万〇八五五円、必要経費一億一五五三万五六五四円及び事業専従者控除額四〇万円を差し引いた二八一九万二七七一円となる。

6  雑所得金額について

控訴人の昭和五〇年分の雑所得金額が三一〇万一九六〇円であることは当事者間に争いがない。

7  総所得金額について

控訴人の昭和五〇年分の総所得金額は、右事業所得金額と右雑所得金額とを合計した三一二九万四七三一円である。

第三結論

以上の次第で、昭和四八年分更正処分等のうち所得金額二八一六万六六六七円を超える部分、昭和四九年分更正処分等及び昭和五〇年分更正処分等のうち所得金額三一二九万四三一円を超える部分はいずれも控訴人の所得を過大に認定したものであるから違法である。

よって、控訴人の本訴請求は、被控訴人に対し、昭和四八年分更正処分等のうち所得金額二八一六万六六六七円を超える部分、昭和四九年分更正処分等及び昭和五〇年分更正処分等のうち所得金額三一二九万四七三一円を超える部分の取り消しを求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当として棄却すべきであるから、これと異なる原判決を右のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九六条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 首藤武兵 裁判官 井筒宏成 裁判官野田殷稔は転補のため署名捺印できない。裁判長裁判官 首藤武兵)

別表(一) 原告の係争各年分所得税の課税関係一覧表

<省略>

(注1) △はマイナスの金額である。

(注2) ※1(昭和48年分異議決定欄)は、同日付の「加算税の変更決定」後の金額である。

(注3) ※2(昭和50年分事業所得金額欄)は、純損失の金額3,208,173円を控除する前の金額である。

別表(二) 収入金額(その1)

<省略>

収入金額(その2)

<省略>

別表(三)-(1)

(昭和48年分)

<省略>

別表(三)-(2)

(昭和49年分)

<省略>

別表(三)-(3)

(昭和50年分)

<省略>

別表(四) 昭和48年分の仕入金額

<省略>

別表(五) 昭和48年分労務費

(1) 被控訴人主張費

(2) 控訴人主張額

<省略>

別表(六)

米原組・米原文雄

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例